すみれの部屋

おら海外さ来ただ!

天知る地知るおばあちゃまも知ってる

母は自分の体調の悪さを大袈裟に言う癖があります。例えば平熱が35℃台なので、37℃の熱が出ると「平熱が36℃の人だと38℃台っていう意味だから、ママの場合38℃あるってこと」という母の仮説をもとに「38℃の熱がある」と平気で他の人に言うこともあります。

以前家族がドン引きした出来事としては、母が具合が悪く床にベタっと張り付いて動かなかった朝のことです。父が血圧と熱を測りなさいと言い、それに従った母。どうやら体温計を脇に挟むのが甘かったようで、33.8℃という結果が出ました。すると、眼に見えるように元気になり多少嬉しそうな母。父に「生理的にあり得ない数値だから、もう一度計り直した方がいいよ」と言われた言葉を聞かず、すぐ職場のボスに「すみません、33.8℃ととても体温が低く、今日は動けないので大事をとって休みます」と電話をかけていました。大袈裟な数字が大好きな母。何度か「33.8℃は異常だから測りなおしたら?」と家族に言われても、嬉しそうに「いや、33.8℃だから」と返事をする母に誰も何も言わなくなりました。どう見てもあれは35℃以上ある、ちょっと具合悪そうなおばさんでした。

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その後、病院に行って「過労だろうから休むように」と言われた母。しかし、過労だなんて生易しい診断で満足するタマではありません。母は色々と調べた結果、自分に「メニエール病」という難しそうな病名を付けたのでした。どちらかと言うと(というかほぼ確実に)自己愛性パーソナリティ障害なんですけどね。私の周りにもメニエール病になった人がいますが、本当に壮絶で、数ヶ月片耳聞こえなかったらしいし、本当のメニエール病の人に失礼なので、そう言う浅はかな行為は良くないなと思うのです。ただ、母に勝手に診断をつけるのは良くないよ、などと言うと「死ねってこと?!」と言われてしまうので、ドラミちゃんも私も受け流すしかありませんでした。

さて、最近では母が武漢肺炎(COVID-19)ワクチン2回目を終えたそうなのですが、どうやら予後が良くない模様です。主治医の先生からは止めるように言われていたのですが、職域で打ってきたとのことでした。家族のグループLINEでもいかに自分が具合悪いかを書いていました。しかし、母の生態を知っている私としては、しつこいなぁと思い「大変だね。でもドエムッシュの弟の彼女40度の熱出たってよ(=もっとヤバい人いるよ)」と送ると「ママ38.2度」と、よく分からないマウントを取ってからではないですか。そこで、心配半分、調査半分でおばあちゃまに個人LINEをしてみました。すると「ママは熱はあったみたいだけど、今はたくさんスイカを食べて元気にしているから心配しないでね」とのLINEが送られてきました。

そんなことを知らない母は、相変わらず家族LINEで「ママはまだあんまり具合は良くありません」など書いていますが、おばあちゃまだってパパだってみんなママが元気なの知ってるんだからね。と思いつつ、大袈裟な母に白目を剥きながら、スタンプを1つ送ったのでした。

女の敵は女

私は20歳の時にJHD&Cにヘアドネーションをしてから、先日帰国した時に3回目のヘアドネーションをしてきました。長い部分だと40cmは切る髪があったので、かなり長かったです。満足な青春時代を送らなかったのか、母は私の髪が長いのと、妹の髪がいつも可愛い色に染まっているのが相当気になるようです。一時帰国した際にも、毎朝毎晩「ねえ、髪切るの?」「何センチ切るの?」「いつ切るの?」「ヘアドネーションするの?」と髪に関する質問をしてきました。本当に口を開くと髪の話しかしない母親。今まで実家にいる時は基本ショートカットだった私の髪が長くなったのが気になって仕方のない様子。私には昔から触れるのはゲンコツの時だけだったのに、髪を上から下まで触られた時にはゾワゾワしました。

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ついに私は髪を切り、後ろから見ると肥えた阿佐ヶ谷姉妹のようになりました。すると、今までは「いつ髪切るの?」しか言ってこなかった母が、人が変わったように「えーすごーく可愛いよー」「やっぱりそういう長さがいいよー」と、わざとらしく大袈裟に褒めてくるではありませんか。

それは私がフランスに帰ってきてから、オンライン帰省をするまで続きました。オンライン帰省でも「どこで髪切ったの?」「可愛いよ」「ショート似合うよ」の押し売りがすごく、「髪の毛しか話すことないんかい!」と心の中で悪態をついてしまいました。

オンライン帰省のあとの、妹のドラミちゃんとの恒例の反省会では、母がドラミちゃんのご機嫌伺いのために、気分を一定に保っていたことと、髪の毛の話しかしなかったことに話が落ち着きました。ドラミちゃん曰く、「髪の毛が短いと女として格下だと思われるから、ママは女として格上となった今お姉ちゃんのことを褒めてるんだよ」とホンマでっかTVの内容を私に受け売りしてきました。確かに母が褒めるときは、相手がベストコンディションじゃない時しか褒めないので、私のロングヘアは似合っていたということなのでしょう。ここまで分かりやすいリトマス紙のような母親も珍しいですね。母に息子がいて、美人な奥さんでも連れて来ようものなら(私は大歓迎だけど)悲惨な未来が待ち受けていたはずなので、とりあえず大して綺麗じゃない既婚の長女と、とっても可愛い独身の次女に恵まれて良かったね、と言ってあげたいです。

ヨーロッパに3年住んで変わったこと

6年前に1年間スウェーデンに留学し、フランスに移住して約2年、日本でも海外でもモテず、付き合ったのも結婚したのもドエムッシュしかいない私ですが、今回の日本の帰省で自分の考え方や習慣が変わったなと気づいたことが幾つかありました。

 

①男の人も家事をして当たり前

友人や同僚と会ったときに、仕事と家事の話をしていると「家事は女性がするもの」と特に男性が思っているのにびっくりしました。日本にいたら、私もおそらく普通にドエムッシュの世話をしていたのでしょう。でも、料理は私の方が手際がいい(五十歩百歩だけど)なので、私に料理は任せて、皿洗いはドエムッシュのように当たり前に家事分担をしています。ここら辺だと周りの人たちもそのようだし、ある意味手のかからない男性が多いのがヨーロッパなのかも知れないな、と思いました。家事をやってもらって当たり前の男性なんて昭和で滅びてほしかった。時代は令和です。ちなみに、我が家では父は皿も下げなければ布団も畳まないので論外です。学費も払わないし。

シャンパン(手土産)は必ずもつこと※フルーツは手土産ではない

コロナ禍でお呼ばれする機会はほとんどありませんが、武漢肺炎(COVID-19)が流行る前にドエムッシュのいとこのお家や知り合いを尋ねる時は、とりあえずシャンパンを持っていっていました。帰国時に友人宅に行く時にスイカを買いましたが久しぶりの感覚。日本ならフルーツなど持っていきますが、こちらの国ではフルーツは手土産にはならない模様です。ケーキを持ってくる人も少ないような。とりあえず、こちらではちょっといいお酒(つまりシャンパン)を持っていくと喜ばれることが分かりました。手土産がない人でも最初のうちは歓迎されますけど、回数を重ねると陰口を言われてる人が…(これは日本でも同じことかも)。ちなみにドエムッシュの両親が来た時の手土産はちょっといいパンでした。

空気は読むものではなく伝えるもの

元々ハッキリと物をいうタイプでしたが、海外に住んでから、くっきり物を言うようになりました。欲しいものは欲しい、要らないものは要らない、と言わないといけない風土にいると、日本人の「空気を読む」というサイキックのような能力が欠落してきます。案外空気を読んで余計なことをしてしまったり、余計に相手に気を遣わせてしまったりするので、空気を読んで相手が何かしてくれる前に、お願いがあれば伝えるようになっていました。それで友達が減ったら悲しい。

 

今回の一時帰国では数少ない友達に会い、「外国に住んでる人って感じ!」と数名に言われましたが、少しずつ日本に住んでいる日本人と感覚がズレてきているのは気づいていました。何をもって外国に住んでいる人と認定されるのか知りませんけれど、文字に起こしてみると、私の認知や習慣が変わってきているのが分かりますね。しかしまあ、ドエムッシュの両親が来た時に私が料理をした話をしても「そりゃそうでしょ」と言ってきた男性の元同僚には、しっかりと令和の時代に合った再教育の場が設けられることを祈るばかりです。

日本の外食はお値段以上

フランスにいると、日本のように美味〜い料理を食べようと思うと、最低5,000円は出さないと食べられません。ということで、隔離期間が終わってからは実家に帰るまで、外食を楽しんだ日々でした。もちろん、感染対策しているお店で。

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ホテルのビュッフェ、これで1人2,700円。フランスで金銭感覚が狂ってしまったので、妹と2回も行ってしまいました。食材から何までこんなに美味しくて、25ユーロ以下なんて私にとっては価格破壊です。でも、だからといって、これ以上高くなられると気軽に食べに行けなくなるので、このままでお願いしたいです。
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旅館のビュッフェ。新鮮な海産物を存分に堪能できました。泊まらずにディナーだけだと6,000円以下ですが、まぁ値段相応だし、なんならたらふく食べられるので、本当に最高です。日本万歳。

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カフェご飯。おばさんに誘われて一緒にご飯を食べに行きました。こんなに副菜が充実しているなんて、日本に帰ってきた甲斐があるというものです。本当に素晴らしく美味しいものばかりで、美食の街リヨンもこれは涙目でしょうね。

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居酒屋ご飯。友人と居酒屋チェーンに行って、ご飯を食べました。個室です。これで1500円以下だなんて信じられますか。これが日本なんです。早く日本に戻ってきて住みたい。これをフランスで食べるとなれば1万円は下らないでしょうね!フランスに2年くらい住んでいると、和食のありがたみを感じることができます。本当に最高。

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私の大好きなタイ料理です。以前妹と通いまくっていたレストランに、結局今回の滞在ランチ2回、ディナー2回の計4回行って参りました。行ったらすぐ手を洗うように言われますが、換気もバッチリだし、安心して食べられるのがよかったです。私がお金を払おうとしたのですが、ディナーはドラミちゃんの奢りで。タイ政府お墨付なのでとっても美味しいです。私にとって地元のレストランのどこよりも地元の味。久しぶりに食べられて、またフランスでも頑張れそうです。

ヨーロッパで暮らしていると外食へのハードルが高くなるし、日本の基準で考えると、味と値段の釣り合いが取れないこともたまたまあります。コロナ禍で営業も大変だと思いますが、日本の外食産業は世界に誇るべきものなので、これからも頑張ってほしいですね。日本の外食はお値段以上だと改めて思うと同時に、外食を堪能出来た一時帰国だったのでした。

自立しないししたくない

母は生まれてこの方一人暮らしをしたことがありません。仕事をしていた独身時代は、おばあちゃんが全部家事をやり、結婚してからは同居しているおばあちゃまが全ての家事を請け負い、実は好きな時に好きなように家事をしているのが母です。仕事人間と言えばそこまでなのですが、子育ても家事もいいとこ取りなのです。

そんなご都合主義でそろそろ還暦を迎えようとしている訳ではありますが、あまりに周りからのサポートが手厚かったため、自分一人で小さいトラブルを解決するのがとても苦手です。そして、自分がイライラしていると周りが助けてくれることを知っているため、都合が悪くなるといつもキレます。

ネックレスや服に髪が引っかかると、それらをプレゼントした人に「あのー、このネックレス引っかかるのですが!怒」と嫌味ったらしく言ってきます。しかし今回は、どうやったのか、鞄のチャックをレースの服に引っ掛けてしまったそう。

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運悪くそのレースの服はドラミちゃんからのプレゼントでした。母はドラミちゃんが帰宅するまで、階段に座り込み、イライラしながらドラミちゃんを待っているのでした。ドラミちゃんが帰宅後、「あのー、すみませんが、あなたのくれた服に鞄のチャックが引っかかりました。大変残念です。」(意訳=あなたの服のせいでカバンが引っかかったので、早く引っかかったところをとりなさい)と言ってきたそうです。

ドラミちゃんは母の態度に関しては諦めが大きく、とりあえず場を丸く収めるため、言われた通りにチャックを慎重に服から外してあげたそうです。

たちまち母は機嫌が良くなり、ぶりっ子をしながら、「ママはこの服が大好きなんだ〜♡」とほざいていたようで、どうにもドラミちゃんはついていけずに、母の変貌ぶりを目前に白くなってしまいました。経済面以外で自立する気のない母、いつまで3分に1回機嫌を変えるのでしょうか。ドラミちゃんは毎回の帰省でこれをやられるため、実家ではどんなに美味しいおばあちゃまの料理を食べても、お腹を下して少し痩せるのだそうです。

来年の年賀状は家族写真

ドラミちゃんは進学しましたが、とりあえず一旦修了証をもらったということで、数ヶ月越しに家族写真を撮ることになりました。私とドエムッシュも一緒の家族写真です。私はドラミちゃんの小さいお友達のために着物と袴を作ったので、4時半頃にやっとベッドに入り込みました。しかし、7時にはドラミちゃんがやって来て「お姉ちゃん起きて、ママがご飯食べたら撮影まで寝てていいって言ってるよ」と言って来たので、目の下にクマをたたえながら起きることにしました。

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しかし、朝食後、母からの“ミッション”が次々と言い渡され、結局眠ることは許されませんでした。皿洗いをはじめ、母の言う通りに動かないと母が怒って全てを台無しにしてしまうため、テキパキとみんな働きバチのように仕事をします。スズメバチの方がよっぽど幸せに働いているはず。

私の目の下のクマは濃くなるばかりでしたが、腹を括って写真館に向かいました。幸い、アプリでクマを消せる時代ですからね。化粧もバッチリしてとりあえずその場の30分は大丈夫なくらいの顔にはなりました。

家族写真を撮った後日、アルバムにする写真を選びに写真館に行くと、顔も肌もベストコンディションではなかったものの、私の顔は思ったよりも大丈夫でした。しかし大丈夫じゃない人が1名。そう、母です。ほとんどの家族写真で目が半開きになっている母。年賀状にしたいと言っていましたが、これだと私が母なら恥ずかしくて世に出せそうにありません。これを人は、天誅、と呼ぶのでしょうか。

とりあえずアプリで目を開かせることも可能だろうと踏んで、母は私たちに色々と仕事をさせてくるのは目に見えていますが、母の知り合いに初笑いを届けるべく、半目の家族写真を送るのもまたいい考えなんじゃないかなぁ、なんて考えてしまう私はサイコパス なのでしょうか。いいえ、誰でも。

母の世話は誰がやる

何度かこのブログではお話していますが、母はドエムッシュのことが大好きです。故に、家族で買い物に出かけても2人で行動するなど、奇行が目立ちます。しかし、それは家族にとってありがたいこと。私はてっきり母はドエムッシュと“デート”するのが好きなのだと思い込み、いや、事実、母はノリノリでドエムッシュを連れ歩いているので、ドエムッシュと2人で出かけようとする母の「じゃあ、今日もよろしく。やることあるから」と頼みました。私はこの日、ドラミちゃんの小さいお友達にも着物を作る約束をしていたので、何度か時間を捻出する必要があったのです。しかし、母から帰ってきた答えは予想外のものでした。

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母は私に「今日もよろしく」と言われるや否や「ママもね、暇じゃないのに、ドエムッシュの世話をしてるんです。あなたの旦那の世話んしてあると言うことはつまり、そんなにママのこと頼るなら、これからママの世話だってしてくれるってことなんだよね、よろしくねニコッ。」とすごい剣幕でまくし立ててきました。

母の言うお世話とは母の代わりに何かをすることで(英語のレポートの代筆や英語関連のお仕事の下請け業務 etc...)、今回もまた母の仕事などを押し付けられるんだろうな、と嫌な予感がしたため、震えながら「行く行く、行くよ」と母に任せきりにしたのを激しく後悔しながら、ドエムッシュと母と3人で地元の旧市街を散策したのでした。

移動中、母が履歴書や書類の作成に苦戦している話を沢山聞かされました。30年弱母と生活を共にすると「私のために書類作成よろしく」という意味です。母はこれ以上昇進が望めないため、転職を希望しているのですが、客観的に年齢や経歴など無理がある職種です。ただ、書類作成を手伝って断られたら私のせいになるし、今までも散々こき使われた挙句、トラブルになった記憶しかないので、今回は「そっかぁ」でやり過ごしました。おそらく母の言う「お世話」とは、母の代わりに転職活動に必要な書類の作成だったのでしょう。ただでさえ今回の帰省は自由な時間がないのに、母の転職のお手伝いなんてやっていられません。ドラミちゃんも手伝おうとしたようですが、母に説明をし始めると「はい、はい、はい、何言ってるか分かんない」と話を遮られて結局匙を投げていました。

「別に忙しいなら、ドエムッシュの世話云々と言うのなら、ここまでしてくれなくていいんだよ」と言っても、母はそこは恩を売ってくるので、とても複雑なところであります。

人の弱みにつけ込んで、自分の仕事の下請けをさせようなんて、二度と通用しないのですが、相変わらず怒りを周りにぶちまけ、最近では父が全ての仕事の下請けを始めたようです。そう言えば最近ため息が多くなったような。。まあ自分の選んだ相手ですからね。

久しぶりにあった父は、母の専属ヘアアーティストからキャリアサポートセンターまで請け負っており、非常に忙しそうにしていました。せめてドラミちゃんの学費を払っていれば私だって少しは同情して手伝ってあげるのに。