すみれの部屋

おら海外さ来ただ!

ついにこの時が来た

数年前、祖父が食事に対してかなりわがままになった話を友人にしたところ、「それうちのおばあちゃんと同じだわ。認知症始まってるかもしれないから、病院行くのいいかもよ。」と言われ、歳も歳だからな…と思いながらこれを母に伝えました。母は自分以外が病気になったり、問題を抱えたりしていると、とても張り切るため、意気揚々とおじいちゃんを精神病院へ連れて行ったところ、案の定認知症の診断がおりました。認知面では生活に支障がなかったため、認知症だと周りも気づきにくかったのですが、認知症の入り口には色々な症状があることを知ることができた出来事でした。それから数年が経ち、私は海外におり、いとこたちは(母曰く)一家離散、つまりドラミちゃんしかおじいちゃんの家に行く孫がいないのです。

ドラミちゃんは先日の帰省で、おじいちゃんが私を忘れないように、他の配慮で、おじいちゃんの家からビデオ通話を繋いでくれました。

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おじいちゃんは私の顔を見て固まっています。これは画面がフリーズしたのではなく、おじいちゃんはまるで私が他人であるかのような表情をしていました。あれ…?と思い、一応名乗り出ます。

私「すみれだよ!」

爺「あ、ああ」

私「忘れてない?!」

爺「んー、うーん、いや…」

おじいちゃんは一生名前を呼んでくれないので、とりあえずドエムッシュを試しに画面越しに出してみました」

M「コンニチワ!オハヨー!」

爺「おぉ、ドエムッシュくん、おはよう」

一番付き合いが浅いドエムッシュのことはしっかり覚えているおじいちゃん。初孫の私はおじいちゃんの忘却のベールに包まれているのに…おじいちゃんから見ると、男の子の孫は1人で、あとは全員女の子なので、義理の孫ができたのが嬉しかったのでしょうが、あんまりだよ…おじいちゃん…と諸行無常を感じたのでした。

その後、ドラミちゃんは、おじいちゃんの記憶力がドエムッシュに全振りしていた出来事を振り返り、不謹慎ながら大笑いしておりました。次、一時帰国する時は忘れられているかも、と思いましたが、一時帰国する前に忘れられておりました。ついにこの時が来たか…と思うと同時に、おじいちゃんの他人に向けるあの表情を画面越しに見られて、次の再会に向けて心の準備ができました!