すみれの部屋

おら海外さ来ただ!

父にとってのオアシス

父はドラミちゃんとのお茶の際は、アフタヌーンティーでケーキと紅茶を頼むような、久しぶりに会って贅沢をさせてくれる理想の父親です。一人暮らしを始めて、珍しく父から「行きたい場所ある?」と聞かれ、「アフタヌーンティー」と答え、連れて行ってもらった時には、紅茶の値段が既にドトールのデザートセットを超える価格設定にビビり散らかし、アフタヌーンティーに行ったにも関わらず2人でパフェを頼んで紅茶を飲まないということもありました。

基本的に私の場合は父が決心した時にだけドトールでデザートセットを頼むのが許されていました。それでも、田舎者の私たちはドトールが最高の贅沢だったので、一人暮らしをしている場所に父が出張のついでに遊びにくると好んでドトールに行っていました(ちなみに今でも好き)。ゆえに父と会う時は基本的にどのデザートセットにしようかな、と楽しみにしていました。当時は500円でケーキと飲み物のセットだったので、父的ちょっとした贅沢価格です。

そんな折、父がまた私のところに遊びにくると言うので、ドトールが入っているショッピングモールで待ち合わせをし、あわよくば服などを買ってもらう算段で待ち合わせ場所に向かいました。あまりモールに行かない父はお店には殆ど入らず、結局ただ歩いただけになったので「ねぇ、喉乾いた(=お茶しよう)」と父に言いました。

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「パパ良いとこ知ってるよ、行こうか!」と言われ、ドトールじゃん!今日は贅沢に50円高いパンプキンタルト頼もうかな、などと考えていると辿り着いたのはフードコート。

あ、そっか!サーティーワンとか何かいつもとは違うやつを奢ってくれるんだもんね!そっかそっか!!と思い楽しみに父について行きました。すると、父はおもむろにフードコートの真ん中に立ち止まり「ここだよ」と指差した先には給水所が!まさか無料の水を飲むためにフードコートにきたの…?と思っていたら、父が「ここなら水飲み放題だから良いべ!」とものすごく良いことをしたような顔をして立っていました。たしかに喉が渇いていたし、ありがたいのですが、わざわざ交通費をかけて郊外のモールで会って、一銭も使わずに水をもらうという暴挙。父らしいと言えば父らしいのですが、その後2人で無料の水をテーブルで飲み解散したことは忘れるに忘れられない思い出です。

年に2回ほど家族旅行をしていましたが、父は旅行先ではケチりません。今回も父的にはプチ旅行だと思っていたのですが、どうやら私とのお出かけは場所は変われど日常生活の延長、ドラミちゃんとのお出かけはお出かけのようです。

自分のことを喜んで「守銭奴」と称する父。父にとってのオアシスはカフェではなくフードコートのお水のコーナーなのでした。