すみれの部屋

おら海外さ来ただ!

写真と記憶は加工ができる

母の証明写真は家族が撮って、ドラミちゃんが加工をするのが最近の一連の流れとなってきています。というのも、母はフォトスタジオが苦手だからです。スタジオで写真に写る時の母の顔はつねに虚無の表情なので、目に光がありません。しかし、スタジオの写真を買うのは両親なので、例えドラミちゃんの卒業記念写真でも家族写真では母が一番マシに見えるのを買うのが暗黙の了解です。

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ココ・シャネルの言葉に

20歳の顔は自然から授かったもの。

30歳の顔は自分の生き様。

だけど50歳の顔にはあなた自身の価値がにじみ出る。

と言うものがありますが、ココ・シャネルの言葉通り、母の口元はどんなに笑おうとしても人を貶してきたせいで口角は下がり、気難しく固く結ばれております。一方で「変わらないね!」とよく言われるようで、若い頃の自分の顔のままだと思い込んでる母は、頭にはリボンをつけて、フリフリのブラウスを着て写真館に勇み足で入ります。しかし、写真の出来を見ると一気に不機嫌になる母。

ついにドラミちゃんは写真館の写真のデータを買ったらそれを加工する禁断の手に出ました。これでどんな母でもMatt化して若々しく蘇ります。それを癖にした母は、ついに証明写真も加工することにしました。加工という禁忌を犯したくないドラミちゃんと、加工をしなければ人をあやめたかのように責め立てる母。しかし、写真を加工する修正屋のドラミちゃんには良識があるので、母の要望を汲み取りつつ原型を留めない加工はせず、皺を取ってトーンを明るくして肌を綺麗に見せるくらいに止めていますが、、

しかし記憶の改竄がデフォルトの母は自分の顔が当たり前に加工後の写真だと思い込んでいるので、今日も明日もぶりっ子と自己愛性パーソナリティ障害の狭間を疾走していくのです。