母親と暮らしていると中々ドラマティックな日々を送ることになりますが、その中でも比較的最近起こったことを紹介します。去年の妹のお誕生日のことです。これはもうトラウマでしかありませんので、是非ここに記しておきます。
母は妹ドラミちゃんの誕生日に絵本を買ってきました。朝に「お誕生日おめでとう!」と渡してくれた絵本。しかしそれは、実は前にも母が買ったことがある絵本で、ドラミちゃんが「あ、これ持ってる!」と言ったら母の機嫌が悪くなってしまいました。母の場合、世の中は敵か味方かしかいないので、この時点でお誕生日の主役は敵のゾーンに入ってしまいました。。そして機嫌が悪くなった母は自分の部屋に閉じこもってしまいました。例の如く、ドラミちゃんが運悪く母が暑い中パソコンをいじっているのを発見。
ドラミ「エアコンつけなよー」
母「私はエアコンをつける資格はありません」
ドラミ「体調悪くしたらダメだからつけるね」
_人人人_
>ピッ!< ←地獄スイッチON!
 ̄YYY ̄
ドラミちゃんは母のことを心配して、エアコンのスイッチを押しました。この時点で、「エアコンを使わせてもらえない被害者」と「プレゼントを心から喜んでもらえなかった可哀想な母親」というアイデンティティを抱えていることをお忘れなく。
ドラミちゃんが押したリモコンのボタンはまさかの「暖房」だったようです。エアコンをオンにして、母の部屋を出てリビングで寛いでいたドラミ。いつまで経っても涼しくならない空気にしびれを切らして母がリビングにやってきました。
母「このリモコン見て!これどういうこと?こんなに暑いのに暖房つけたの?」
ドラミ(本日の主役)「ごめん。」
母「30度もある部屋に暖房つけるって、ママのこと殺そうとしてるんですか?」
ドラミ(本日の主役)「慌てててエアコンつけたから」
母「あんたは私を殺そうとしたんだよ。あんたはママを殺そうとしたッ!」
お誕生日をお祝いしようと母から提案されてわざわざ帰省したのにこの扱い。
殺人犯のような扱いを、これでもか!と受けたドラミちゃんは、お誕生日なのに「ドラミは生まれてこなきゃ良かったのかなぁ…。きっとママから愛されないからお姉ちゃんがお母さんみたいに愛情注いでくれるんだよね…。」と泣く始末。
泣いてるドラミを守れるのは姉しかいない、と母親に「母親の何たるか」を偉そうに説教し、更に話を聞いてもらえずキレてみましたが、私の声は全く届かず、私は宙に向かって悪態をついている道化以外の何者でもありませんでした。共感性のない方には勝てません。この惨事を目の当たりにした私とおばあちゃまは、あまりにドラミちゃんが可哀想になり、ドラミちゃんをなだめてから、気分転換に外出しました。ドラミちゃんは基本感情の起伏がないので、滅多に泣かないのですが、気が動転していたのでしょう。親戚のお家に遊びに行って、桃のタルトとメロンを出されて、「お誕生日おめでとう!」と言われたらまた泣きそうになっていました。
そうだよね。純粋にお祝いしてもらえたんだもんね。嬉しいよね。(よしよし)
その後、母の実家に渡すものがあったので、母の実家に行きました。母方の祖母に泣き顔の理由を聞かれて、ひとしきり家であったことを話したドラミちゃん。祖母はそれを聞いた上で、自分がいかに苦労したかを話し始めました。「…そう、昔は地下に部屋を借りてたから、夜になるとナメクジが出てきて、おばあちゃんはお経を唱えながら1匹1匹ナメクジを手で取ってたんだよ……私は急な坂でも、どこまでも自転車を漕いだから太ももが太いの!」(←決して笑わせようとしているわけではなく、真剣)苦労のマウントをとってくるのが母方の祖母。笑ったらキレられるし、話は通じないし、ドラミちゃんはなす術もなく、しょんぼりしながら家に帰ってきました。
晩ごはんはまさかのホテルビュッフェです。父は霊柩車の運転手さんのような表情で車を出し、シーン…としたまま家族で車に乗りホテルまで向かいました。母も自分で雰囲気をぶち壊したのに、何でこの空気になっているのか分からない様子。多分例の如く何をしたか記憶にないのでしょう。ホテルに到着後、母はテンションのボルテージが上がるところまで上がりました。するとどうでしょう、つい2時間くらい前までドラミちゃんを殺人犯扱いしていたのが嘘のように柔和な表情になり、「生まれてきてくれてありがとう」などほざき始めるのです。俯きながら「う、うん」とうなずくドラミちゃん。その後静かなホテルビュッフェが始まりました。どんなにお通夜ムードでもしっかり食べる我が家。最後はサプライズのケーキでフィニッシュです。ウェイターさんが、聞き辛そうに「写真撮りますか?」と勇気を出して聞いてくれたのでお願いすることにしました。
「はーい、笑って!はい、チーズ!」
口だけ笑ってる私
目が腫れているドラミちゃん
何とか笑おうとしている父親
全く笑ってないおばあちゃま
空元気MAXの母親
5人に共通していたのは、目が死んでいるということでしょうか。この写真を見ると、その日1日、何かよろしくないことが起こったということだけは確実に分かるでしょう。2枚目を撮ることなく、何も聞かず、ウェイターさんはそっと去ってくれ、非常にプロ意識が高い方だと思いました。
その後例の如くまた記憶の改竄がなされ、先日のオンライン帰省時には「今年も一緒に楽しくケーキ食べようね」と言っていた母親。今年こそ去年のトラウマ掘り返さずに、せめて誕生日くらいは楽しい1日にしてあげてほしい、これが私の願いです。