すみれの部屋

おら海外さ来ただ!

思い込みを地域と家族で支えるということ

母は時々突拍子もないことを言うのですが、誰も現実を指摘できないので、母はどんどんつけ上がり、結婚30周年を超えた今では暴走機関車のように好きなところを走りまくる人生です。私が一人暮らしを始める前には、母が「一人暮らしで料理もしないと行かないだろうから、せめてカレーの作り方だけでも教えてあげる」と言って、具材は2cm四方に切ること(適当に)、スパイスは辛さを出すために胡椒を小瓶の半分使うこと、水はほとんど使わないことなどレクチャーされ、結局、母の美味しくないカレーの原因を突き止める事になったわけですが、母はなぜか自分のことがとても料理上手だと信じて疑っていません。中華鍋で強火で水を沸かしてそこに具材とルーを投入、水分を飛ばしていたのには言葉を失いました。

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時々口癖のように「ママ、そんなに取り柄ってないんだけど、強いて言うなら勉強と料理かな…」と、どっちも得意ではないことを自分の得意に持ってくるので、その度に私はスルー、ドラミちゃんは反応にこまり、父だけがその場を盛り上げると言うことが我が家の普通の光景となりつつあります。

母は味見をしないので、自分の料理の出来に関してはどうやって評価を下しているのか不思議です。ただ、作ったものはなぜか近所や祖父母に配りたがる母、きっと料理上手の勲章が欲しいのでしょう。魚の干物などを手作りするご近所さんに干物より固く焼いた表面が黒焦げの肉をあげたり、強火に具材をかけすぎてじゃがいもが小さく溶けてしまったシチュー(水が少なくてしょっぱい)をあげたりしています。そして、「こんなハイカラな料理はあそこのうちで食べないと思うよ!」とものすごくドヤる母。

真実を直視できない母の暴走を加速させた父には重い罪がありますが、しかし現実を伝えたところで「私を陥れようとしている!」と言う思考回路なので、どのような対応が一番いいのか分かりかねます。ご近所さんは毎回「お料理ありがとう」と言ってくれます。我が家ではこっそり父や祖母が味の調整をして食べるため何とかなりますが、決して美味しいとは言わないご近所さん。しかし、母は「ありがとう=おいしかった」と思って、「また作ります!」とお返事するのです。ご近所さんの顔が引き攣って見えたのは気のせいでしょうか…。。

しかし、また魔の週末がやってくるので、今週も母は独創的で独善的な料理を近所や祖父母に振る舞うことでしょう。礼儀正しく素敵なご近所さんたちがお礼を言うことによって、遂に母の「自分が料理上手である」思い込みが小さい地域によっても支えられる今日この頃です。