すみれの部屋

おら海外さ来ただ!

武勇伝!武勇伝!

母の自己像は「何でもできる自分」です。自己肯定感とは、あるがままの自分を受け入れられることであり、自分の得意なことや苦手なことをキチンと把握できるのが正しい自己肯定です。母のメタ認知の歪みがなんとも…なんとも。。

母には5つのモードがあり(ぶりっ子モード・自己陶酔モード・仕事モード・爬虫類フェイスモード・賢者モード)勘違い街道激走中の時は自己陶酔モードでアゲアゲです。

女として「才色兼備(自称)」

→見た目もいいけど仕事も頑張って周りが認めてくれてるんだー!可愛いだけじゃやっていけないんだゾッ⭐︎

妻として「夫を立てる私(自称)」

→パパが勉強したいと言った時ママは全力でサポートしたから今パパは出世したんだよね(父の努力はガン無視)。やっぱり協力的な妻が出世には必要なんだなー!

母として「理解のある私(自称)」

→(父に教員採用試験を受けろと強要された時)ママはあなたを応援してるから、受験の応援にアパートまで行ってあげたりご飯作ってあげたりしたよねー!娘の心配やサポートしないといけなくてお母さんって忙しいなー!

ママ友として「良い相談相手の私(自称)」

→やっぱりママはある程度地位があるから、みんなママがくると喜んでくれるんだよねー!やっぱりママって飲み会に必要っていうか、みんなから頼りにされてるのかなー?!

生徒として「優秀な私(自称?)」

→ママに代わる優秀な生徒がいなかったから、なんでもやってあげたんだよねー!ママを委員会に入れるために先生新しい委員会作ってくれたんだよねー!!

保護者として「先生万歳!」

→今年1年はお仕事お休みもらってるので、ベルマーク委員会やりまーす!私のような理解のあって熱心な保護者が先生には必要だよねー!!学校にも貢献!貢献!

近所として「親切な私(自称)」

→(近所のおばさんが入院中)女の人の作る料理食べたいだろうなぁー♡ケーキ作ったんです(焦げてる or 生焼け)!ぜひ食べてください!また持ってきます!近所の人にもご飯配るとか私って親切ー!!

などなど、趣味の悪いギャグにしか聞こえませんが、母の中では大真面目なんです。「いい人」「優秀な人」"I'm a perfect human"という自己像が出来上がり、誰も止めることのできない暴走機関車のような言動が増えます。

そして最近は「就活生として」特に「優秀である」ことに誇りをもっているようで、就活で失敗したとき(現在進行形)には、現実と理想のギャップを埋めるように声高に自分の優秀武勇伝を語り始めます。

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例えば、母の中学生のころ…「午前は日本語のスピーチ、午後は英語のスピーチコンテストに出てたんだよねー。ママに代わる人いなくってさー。」と真面目なトーンで淡々と語るのです。周りは「へー。」「すごいね。」「やっぱりママちがうね。」などなど相槌をしてやり過ごす時間です。

それが、最近はドラミちゃんもバリバリ英語で世界各国の大学院生とやりとりをしていたり、私も外国で働いていたりしていたら、ちょっとしたことで「ママのこと馬鹿にしてるでしょ」と被害妄想をするようになってきてしまいました。そしてついに妹や私をライバル視し、娘たちの業種に似た職業に転職しようと就活を始めました。

しかし毎週末書類を出してもお祈りメールが届くばかり。。お祈りメールや封筒が届くたびに「どうせ今回もダメなんだ」と言いながらメールや封筒を開く母を見てドラミちゃんは心が痛くなると言っていました。私も人の子なので、それが母だと言うことを差し引いても気の毒だなと思います。

しかしそこで母のフォローを始めるとアリ地獄のように、母の自己陶酔モードから我々は抜け出せなくなってしまいます。ドラミちゃんは特に優しさの塊なので、今まで母のフォローをしてきた分、母はドラミちゃんの顔を見ると反射的に武勇伝を始めてしまうのです。この年齢で就活で失敗したということは、年齢や経歴が足りなかったということなのに、現実を見る勇気は母にはございません。そこで、現実逃避のために嘘か誠か検証のできない30年以上前の武勇伝を語り始めるのです。

「ママはね、ゼミで一番優秀だったから、学会発表しなさいと先生に言われたんだよ。しかも先生指導してくれなかったのに、学会発表したから指導のお礼寄越せって言われて、ロシアの絵が描いてある缶に入ってるクッキーあげたんだよね。指導しなくても優秀な学生がゼミにいて良かったよね!」

「この本にママの書いた論文載ってるんだよね。これ10冊買って配ったんだよね!でもおばあちゃん家燃えてママの手元にこの本ないから要らない人返してくれないかな、あの本。」

「この論文集にママの論文載ってるんだけどね、周りの人たちも『載りたくても載れるものじゃないし、ママさんすごい』って褒めてくれるんだよね!」

などなどドラミちゃんは毎回帰省時に聞かされているようです。オンライン帰省で時々私もやられますが、仮にこんなアピールを面接官にしているとしたら、落とされても当然だよな、と思ってしまうのでした。

母方の祖父母もよく武勇伝を聞かせてきます。おばあちゃんに至っては、100キロの道のりを毎日自転車で往復して、太ももが太くなったというオチ付きですが、母の話にはオチがないのでせめて誰か「かあちゃんカッコイ〜!」と合いの手を入れてくれる人がいないかなぁと思う今日この頃なのです。